グリコのおまけ

 先日、庶民向けの有名な豚カツ屋でトンカツを買った時の事です。私はいつものようにヒレカツ2枚とクリームコロッケ2個を購入しました。料金は1,000円を超えていて、その時は別にと思っていましたが、内心、高いなと思う気持ちもありました。しかし、購入している時は、キャベツをふんだんにおまけとして付けられることや、ポイントがもらえることに気がとられていて、トンカツの料金には関心が向かなかったのです。

 そうです。私は、このお店でトンカツを買う時は、いつも、おまけの方に気がとられてしまうのです。そうして家に帰って、カツを皿に乗せてみると、何だか、カツが少しずつ小さくなっているような気がしました。クリームコロッケも段々、小さくなっているような気がしました。スーパーで購入したものの方が大きくて、具だくさんのように感じますし、実際、そうなのだと思います。

 この店にはもう、20年以上習慣で買い続けていますが、さすがにここまで小さくなって値段が高いままのを買うのはやめた方がいいのかも知れないと思うようになりました。そこでフッと考えてみました。自分が何故こうまでして長い間、このカツに魅せられていたのかということについてです。

 それはやはり、あの大盤振る舞いに、いかにも特別よというように装われたキャベツのせいだったのではないかと思いました。

 その豚カツ屋の店員さんが、いそいそとたくさんのキャベツが入った小袋を、専用のレジ袋のなかへ無造作に投げ込むんでいる仕草に、少しだけ陶酔していました。そんなにたくさんキャベツを付けくれるのですか。悪いですねェというように。

 私は、その時の得した気分が味わいたくて、つい足が向いてしまったのです。

 しかし、最近、豚カツが小さくなる度に私の心に冷静な判断力が芽生えるようになってきました、キャベツを大盤振る舞いすることが、購入させるための匠な技だったのではないかという疑問が湧いてきたのです。

 結局、あのキャベツの存在が店の経営を安定させるための手段だったのではないかと考えました。まんまと罠にはまってしまっていたのだなと結論付けました。

 

 おまけと言うと、もう一つ思い出すことがあります。それは子供のころによく購入したグリコのキャラメルについていたおまけのことです。グリコと言えば、あの両手を上げているスポーツ選手が描かれている赤い箱のパッケージが有名なキャラメルです。当時は確か6個入っていて10円だったと思います。それがやがて20円になりましたが……。

 そこには必ずキャラメルはこの上に小さな白い箱がついていていました。その小さな白い箱の中には、プラスチックでできた小さなおもちゃが入っていました。

 このキャラメルを買う時は、そのオモチャが何かということがとても気になり、開ける瞬間が楽しみでした。オモチャの種類はが豊富で、同じオモチャになることはあまりありませんでした。

 キャラメルよりもオモチャ欲しさに購入しているといってもいいくらい、オモチャを取り出す時の興奮が忘れられなかった。

 最近の子供は、そういったおまけのオモチャに魅せられることはないのだろうか?おまけで惹かれてくる子供は少なくなってしまった。

 ものが溢れていて、何でも手に入ると、人はそういったことに興味がなくなってしまうのかも知れない。

 それでもグリコのおまけは私の中に強烈な印象として残っている。