新型コロナウィルスの風景 8月3日 東京⑥

 前回の記録から2ヶ月半が経過した。本当にこの間の出来事は大きく変わってしまった。6月の下旬には東京でのコロナ感染者数が激減し、世界的にも稀有な事例として、多くの海外メディアも日本の自粛によるコロナ対策について驚きと賞賛の声が各地で上がっていた。それから様子を見ながら非常事態宣言が解除された。

 しかし、その賞賛は風に吹き飛ばされていったかのように、わずか1ケ月余りの間にコロナウィイルス感染者の数は右肩上がりになり、最近では東京だけで連日400人の感染者数を超えている。その数値の増え方にも驚いたが、それに増して何よりも私を驚かせたがのが、若者たちの喜びに満ちた表情である。

 コロナウィルスの感染者数の棒グラフが上昇すればする程、東京の街の若者たちの歓声の声が高くなっていっているように感じる。それはまるで、花火が高く打ち上げられたのを喜んでいるかのような姿に見える。

飲食店や電車の中。街を歩く若者から中高年の人々。時には老人まで楽しそうに歩いている人を見かける。もちろん、全ての人がそうであると言い切れるものではないが、自粛していた頃の人々の表情と比較すると、かなりの変化が見られていると感じる。

 特に若者たちは、自由を勝ち取ったように騒いでいる。

だから、今、東京の街はとても賑やかで華やかな雰囲気に包まれている。

 テレビでは、どうしたらいいかという不安の声が聞こえるてくるが、そんな声には耳も貸さない人々が、街を謳歌している。もう、1ヶ月先のことがまるで分からなくなっている東京の街に立った時、青い空を背景にスカイツリーが顔を出していた。東京は8月1日に梅雨明け宣言がされた。今年は長い梅雨だった。ようやく開けたのだなと思った。