新型コロナの風景① (2020年 3月22日) 

 昨日の土曜日、仕事帰りに東銀座から新橋に向かって歩いた。普段通りの街道なのに、一瞬背筋が寒くなるような怖さを感じた。最初、何で、こんな気持ちになるのか分からなかった。いつものように街の明かりが華やかに輝いている銀座の通りのはずだ。

 しかし、よく見ると人が誰もいないのだ。それが、何だか暗い夜道を歩く以上に怖いと感じた。私は、思わず走り出しそうになって人影を探した。硬い道路の感触が冷たく足の骨にまで響いてきた。

 さすがに新橋駅近くにさしかかると、街の喧騒があちらこちらから漏れてきた。足早に歩く人、ほろ酔い加減で歩いている人の姿に漸く安堵の気持になった。

 新型コロナウィルスの影響で自粛の生活が続いている。土曜日の夜も出来るだけ外に出てこない日本人は、なんて号令に忠実なのだろうかと感心もする。それでも、いつになったらこの生活が終わるのかと思うとため息が出た。

 新橋駅から山手線にに乗り品川に向かった。最近開通した「高輪ゲートウエィ駅」を物珍しいように覗き込む。駅の雰囲気は他の山手線の駅と色も雰囲気も代わり映えしないように作られていた。せっかく横文字を入れた駅なのだから、もっとド派手なデザインにしても良かったのではないかという考えが自分の頭の中を巡り、一瞬だけ新型コロナウィルスのことを忘れさせてくれた。